2013年5月13日月曜日

富士山に登りました(2012年8月24日夜〜25日)

もう去年のことになるのだけれど、2012年8月24日夜〜25日昼頃まで、
日本の頂上である富士山にはじめて登って来ました。徹夜の弾丸で。


つい先日、富士山が(ようやく)世界遺産に登録されることが決まったということで、
これから登る方も増えると思います。どうやら公式の登山用HPの開設も準備されているようで、そこを見ればおそらく大丈夫になると思いますが、一応個人の体験が少しでも参考になればと思って書き記します。


個人的に必須だと思うまとめや装備一覧は最後に書くので急ぎの方はそちらへ。



登山の一部始終を撮影してまとめた動画はこちら



さて、富士山は登山素人の凡人でも登ることができるかどうか。
登れます。ただし高山病にかからなければ。

僕は当時ランニングを週に10km×3日ほど行っていたので、
体力的には自信がありました。
でも、登っている方たちは結構年配の方や場慣れをしてなさそうな方も沢山いました。

僕が行った登山ルートはスバルライン。
富士山五号目から登る、最もスタンダードなルートです。
しかし、僕が登ったのは夜です。
しかも会社が終わってその足で登りました。しかも一人で。

まず、時間に関しては単純な理由で、新宿発の直行バスが
金曜夜しか取れなかったからです。
今記録を見ると会社から登山前日にバスを予約していました。
山を舐めるなと言われそうですね。が、それまではちゃんと準備して行ったんです。
やっぱり晴れで土日で7.8月の登山シーズンで上手く条件が合致する日を選ぶのが難しいんです。

登山当日は、朝少しだけ早く起きて登山道具を詰めたバックパックを
新宿のコインロッカーに預けて会社に行きました。
帰りにコインロッカーでバックパックを引き取り、
トイレでジャージに着替えて会社の鞄などはまたロッカーに預けました。

これから徹夜で登ることになるので体力をつけなければと、
トンカツ和幸でトンカツ(勝つ)を食べて19:30新宿発のバスでいざ出発です。

バス内は東南アジア人、韓国人、白人、関西人など様々な人種のるつぼと化していました。19:30に出発して富士山五号目についたのは22:00。

バスを降りると凄く寒いです。半袖では居れません。
真夏というのに標高2400mは伊達ではないですね。


皆、明かりのある土産物屋の前で装備を整えています。
その寒さから、予想していたよりもたくさんの服を着て臨みました。


さて登るぞ!と思うけど、いやはや暗い。夜の山の中。登山口まで多少は電灯があるかと思いきや、これが全くないんです。闇が延々と伸びるだけ。登山口、どこ?
ヘッドライトが唯一、視界を確保するアイテム。でもこれは通常、足元を照らすほどしか輝度はないため、相変わらず周りはあまりよくわかりません。


登山道の入口まで進もうとするけど、まず登山道ってどこ?ある程度歩いて不安になり、その暗さと案内の無さの恐怖から、ちょっと人が来るのを待ちました。

幸い軽いノリをした外国人らが通ったので、彼らの後を着いて行きました。
どうやら僕の居た場所がほぼ登山道だったみたいです。良かった合ってた。
少し歩くと道が二股に別れていたので、短距離に見える方を進みます。近道万歳。


でもなぜか、そちらの方に進む人達はまばらです。
おや、と気づいたころにはもう遅い、少しだけ険しい道のようです。
斜面が急な上、うっそうと茂る「林の中」を進むという恐怖のコースでした。
あとでわかったことですが、帰りにもう片方の道を確認しましたけど、
そっちは舗装されていました。

恐怖コースで周りを見渡すと、おそらく登山慣れをしているであろう夫婦の他に、
なんと1人で歩いている女性がいました。天使いた!
声をかけて一緒に行く事にしました。でも途中ではぐれました。

登山は要所要所で休憩所はあるけど、
そこまでの道のりは実は岩場をよじ登るような険しい道です。予想以上にハード。
昼間の明るい中で登るなら周囲の状況が見渡せて安心できるのかもしれないけど、
いかんせん真っ暗闇。闇に続く闇で、その岩場がどこまで続くか検討もつきません。

山頂からは、六甲おろしならぬ富士山おろしが吹き、立ち止まると一気に体が冷えます。

あと、なんといっても空気が薄い。
七号目を超えた頃から、石と石の上をひょいひょいっと数歩駆けるだけで動けなくなるほど酸欠になります。意識や呼吸はいつもよりしっかりしているのに、
体はリアルスローモーションの世界。
親に連れられた子供は泣きながら帰りたいと言い、
道端には死体のように横になっている人をよく見かけました。


マイペースに歩くこと6時間。間の山小屋の前でダラダラ休憩したり、
1000円の日清カップヌードルを買って食べてみたり、
持ってきたカロリーメイト三箱を食べ尽くすなど
主に食べて楽しみながら登ったため、山頂でのご来光に間に合いませんでした。
頂上からおよそ100m下でご来光を迎える事になりました。

しかし登山道からご来光を見るには、ちょっと人が多すぎでした。
せっかくの、生涯最初で最後になるかもしれない富士山のご来光を
動画で美しく収めるために三脚を持ってきたので、それを置くスペースが必要です。

そこで登山道を外れて山の斜面に出る事にしました。
これ、絶対やっちゃダメだと後でわかります。

通常の山の斜面は踏み固められていなく、
火山岩が崩れた粗い砂がたっぷり堆積しているためズルズル滑って非常に危険です。
すぐにでも滑れるところでもし滑ってしまったら滑落も十分あり得ます。

明るくなって気づくのが、登山道以外の斜面には人を簡単に潰せるほど大きな岩が、
今にも崩れて滑り転げそうな状態で残っています。
自分の背後にもそんな岩がドーンとあって、転がられると完全アウト。
その岩に触れると転がることもあるでしょう。
そうなると登山中の人達も巻き込んで大惨事になるので、
絶対に登山道を外れちゃいけません。

とはいえ、一度出てしまい、下手に動くと逆に危険なので
そこでご来光を迎える事にしました。

いやあ待っている間は極寒です。
動きを止めると急に体の芯から冷える。
日の出前が一番気温が低い。

足場が悪すぎて三脚が立たずに手で支えていたけれど、
寒くて文字通りブルブル手が震える。
カメラがブレないようにするためには非常に苦労しました。

で、ご来光です。いやあ、こんな美しい景色は生まれて初めて見ました。


まるで山水画のような山々の輪郭が、自分より随分と下の辺りで連なって見えるなんて、
ちょっと信じられない、生まれて初めて見る光景です。
そして快晴。あまりの清々しさと太陽の神々しさで、
大きな幸福感に包まれました。
来て良かった。心からそう思えました。
これぞまさしく日本一の景色でした。

日の出から約一時間後に無事頂上に到着。


火口を挟んで対角線上にある郵便局が見えたけど、流石に遠いし、もう十分満足してしまったので頂上で少しだけゆっくりと寝そべったあと下山する事にしました。

「行きはよいよい 帰りはこわい」

普通、真っ暗闇の登山より晴天の下山の方が楽に思えるようなものですが、
登山に比べて何倍も辛いです。

登山道と下山道は分かれいるけど、下山道の方は急斜面の上、
靴が埋まるほどの大きな砂利で非常に滑りやすいです。
何度もずっこけました。体を支えるために足の指や腰やふくらはぎに
全力で力をかけなければ転んでしまいます。


そして下山道は無限地獄さながら。
その道はまったく同じ風景で、飽きます。
U字を描く道をただ繰り返すだけ。
降りながら「地獄に落ちたらこれが続くのかも」と思うくらい辛い。
結局時間的には三時間弱で降りれたけど、もう下山は二度とやりたくないです。


■富士山登頂のまとめ。


1.登る時間
登るならご来光を見るのがオススメです。行きは夜の富士山、そしてご来光、帰りは明るい富士山を一度に楽しむことができます。ご来光はとにかく感動します。

2.お水ってどれだけ持っていく?
装備一覧は下記に記載しますが、僕は1.5リットルのペットボトルに水を1リットルほど入れて持っていって足りました。
シーズン中は休憩所で水が買えるので、それほど持っていく必要はないかもしれないですが、なんでも自己責任の山だからなるべく持って行きましょう。

3.登るの大変でしょうに。特に持ってきたいアイテムは?
ステッキは二本必須です。あると疲労度が格段に低くなります。
当時は3000円で下記のものを買いました。
http://www.amazon.co.jp/dp/B0089I420O


あと、靴の中に砂が入るのを防ぐものです。快適度がまるで違うと思います。
http://www.amazon.co.jp/dp/B000AR5WP6

下山道は砂埃がひどいのでマスクは必須です。これを持って行ってませんでしたが、帰りに鼻をかむと真っ黒でした。

あと手袋は100均の軍手で充分です。

靴は底が硬いトレッキングシューズを選ぶこと。
僕は捨てる前の革靴で行ったが、下山で後悔しました。

夜登るならヘッドライトは10時間はもつ80ルーメン以上のもので。
30ルーメンのが結構出回ってるけど、明るさ的にかなり厳しいです。


■当日の装備一覧


【服】
ランニング用半袖
ランニング用長袖
ジャージ上下
フリース上(使わず)
ウインドブレーカー下

雨除けカッパ兼ウインドブレーカー上下。(下は使わず)

【常時装備品】
ステッキ2本
ヘッドライト90ルーメン
軍手

【食料】
カロリーメイト
チョコレート
水1リットル

【その他、都度利用】

iPhone(カメラ・Runkeeper・メール・電話)
iPhone用バッテリー
一眼カメラ


予備バッテリー


三脚

タオル
地図


僕はこの装備に、あとちゃんとしたトレッキングシューズとマスクさえあれば
何度でも快適に登れると思います。
しかし年に何度も使わないものに、たくさんお金をかけるのはバカらしいので、僕はなるべく安い装備で登ります。

総評としては、僕は登って大満足しました。
まだ登った事のない方は、ぜひ夏に登ることをオススメします。
体力的にはある程度あれば誰でもいけるでしょうが、
楽かどうかを考えると少しでも若いうちがいいと思いますよ。

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